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D社静岡県商業施設

ディスカウント大手企業からご依頼をうけたロードサイド型大型商業施設。
国道を挟んだ向かいの敷地にある道の駅・マリーナとタッグを組んで、地域の再活性化に大きく貢献すると地元からの期待も高い計画である。
国道と旧道に挟まれ、さらには海と線路・崖に面した敷地は、開発規制や潮害・大雨・土砂災害など地域では当たり前の自然条件が、大型商業施設とは相反して厳しい。
多数のお客様が来店される建物利便性はもとより、自然環境へ適応しながら高い耐久性を持ち、災害時には避難拠点・防災拠点としても機能するよう通路と高さを配慮した建物とした。

自然と地元と観光と

ロードサイド型の商業施設では、まずは通りすがりのお客様に立地が分かり易いように、そしてこれまでの土地の性質を補いながら地元と調和するよう、バランス感覚を大事にしています。
国道を走る車から見える山の緑を極力邪魔せず、無粋なコンクリートに覆われた崖部分に楽しい店舗エンターテイメント性が重なるよう配置を検討。鉄道・沿道からは気持ちよく拡がる伊東の海の邪魔にならないよう、それでいて広い屋上駐車場が一次津波想定高さを超えるよう建物高さを計画。
万が一の時の一次避難場所としての屋上広さと背後の高台への避難動線を確保し、災害時に住民や観光客・従業員の命を守る役目も果たすのです。

  • 昼景

    地域に活気を戻す役目

  • 屋上駐車場

    津波対策として1次避難場所にもなる屋上駐車場、海沿いの国道から背後の山に逃げる通路にもなる

  • エントランス

    エンターテイメント性豊かで皆が楽しいエントランス

  • 店内

    地元の漁港や市場から新鮮な海の幸、山の幸もたくさん並ぶことだろう

  • トイレ

    観光の方も一息つく優しいマリンテイスト

商業と雇用

このエリアは昭和の高度経済成長とともに温泉地・別荘地として繁栄、バブル期に観光ピークを迎えた後、経済停滞とともにぐっと観光需要が冷え込んだまま長い時が過ぎた。初めて当地を訪れた際も古い倉庫と閉店した飲食店があるだけの荒廃した空気感が漂っていた。ただ脳裏にはひたすらに眩しい空と海が焼き付いた。

多くの郊外市町村では、
若者の働き口がない⇒結婚しても共働きできない⇒収入が足りず家族で都会へ引っ越す⇒残された人口の高齢化⇒税収減少し老人福祉費は増大⇒公共投資が停滞⇒更に働き口が無くなっていく、、、
という過疎化による負のスパイラルに嵌まっている。
このお店で想定される当初雇用は約200名。それぞれが家族を持つとしてこのお店だけで1,000人規模の人口流出を抑える可能性を議論できる訳だ。

大型商業施設が近隣環境に与える影響は甚大だ。人や車の流れが大きく変わり、その土地と気が合わないと様々な不都合が生じる。最初に脳裏に焼き付いた眩しい空と海の感覚を決して忘れないよう建築した。
(追想:観光でこの店に立ち寄ることがある。駐車場はいつも満車、店内は常に混んでいて、観光客だけでなく、地元の方と思しきお客様も多数見かけられる。この上なく嬉しい。)

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